オランダ・ベルギー旅行~アントワープ大聖堂~

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今回はアントワープ(アントウェルペン)のノートルダム大聖堂のご紹介です。

この大聖堂では、アントワープ聖母大聖堂、アントワープ大聖堂とも呼ばれ、アニメ「フランダースの犬」でネロがルーベンスの祭壇画「キリストの降架」をみて、パトラッシュと一緒に昇天したところです。

 

この聖母大聖堂は123メートルの高さを誇り、フランドル地方最大のゴシック建築で1351年に着工し、170年もかけ1521年に完成しました。

 

次がノートルダム大聖堂です。「ベルギーとフランスの鐘楼群」の中で世界遺産に登録されています。

 

大聖堂の前にネロとパトラッシュが眠りについています。

 

大聖堂をはいると正面には、ネロが毎日のように訪れて眺めていたルーベンス作『マリア被昇天』。

慈愛に満ちたマリア様の姿に幼きネロが、亡き母の姿を重ねたというこの絵です。

 

ご参考として、この『マリア被昇天』の下絵です。今回、マウリッツハイス美術館で観れました。

実際にはマリア様の顔の向き、人々の姿勢などいろいろ変えてますね。

 

比較しやすいようにならべてみました。左:下絵、右:『マリア被昇天』

 

 

天井にも聖母マリア様が描かれています。

アニメではこの天井の絵から天使たちが降りてきて、ネロとパトラッシュを天に連れていく様子が描かれていました。

 

次はこのノートルダム大聖堂の目玉である『キリスト昇架』と『キリスト降架』を紹介します。

 

かつて、聖堂内ではルーベンス作『キリスト昇架』と『キリスト降架』の両作品の前に厚いカーテンが覆われており、銀貨を払った人だけに公開が許されていました。

アニメの中でネロは「きっとルーベンスは、貧しい人に絵を見せたくないなんて思わなかったはずなのに」と言っていました。

まずは『キリスト昇架』から。

 

この絵は元は聖ワルブルグ教会の主祭壇のために描かれたものですが、聖ワルブルグ教会が取り壊されるため、1816年にこの大聖堂へと移されました。これにより「キリスト降架」と対を成す形で展示されることになります。

 

これはキリストが釘付けにされた十字架を立てようとする、「昇架」の場面が描かれています。

 

この絵はバロック絵画の基本的な構図である「斜め」が使われ、「動き」を表現しています。

斜めの動きとは縦の動きと横の動きとの中間でどっちつかず、ゴシック様式時代の人々は「地から天へ」の垂直の直線を理想する考えから中途半端な状態へと変わっていったといえます。

 

 

キリストの身体が斜めに描かれているだけではなく、左のパネルの左下の女性や子供たちの一群もキリストの身体と同じ傾きに描かれています。

 

右パネルは馬に乗ったローマの指揮官が刑の指揮をしていて、左手に一緒にはりつけにされる2人の盗賊が描かれています。

 

「キリスト昇架」の左パネルの裏側です。

祭壇画を閉じたときに正面に見えます。うっかりしてると見逃してしまうので注意してください。

 

 

次は「キリスト降架」です。

この「キリストの降架」は17世紀ブランドル芸術の至上の傑作で、形、線、色彩、光が互いに完璧なバランスにあります。
射手のギルドたちは、この三連画を、守護聖人である聖クリストフォロスにささげたものにしたかったのですが、反宗教改革側の聖像制作上の規則により、この聖人の生涯を主要な主題にした祭壇画は描くことはできませんでした。
そこで、ルーベンスは、クリストフォロスは、「キリストを担うもの」を意味するため、「キリストを担うもの」としてキリストの処刑後、キリストを十字架から降ろす光景を描くことを思いつきました。
中央パネルには、イエスの亡骸を支えるヨハネ(赤い服)です。

 

右パネルは、マリアが小さなイエスを高位聖職者シメオンに授けていて、ヨセフがいけにえのハトを持ちシメオンの前でひざまついているところを描いています。

預言者シメオンは「ルカによる福音書2:25 – 35」にて、幼子イエス・キリストを抱き上げた人物(抱神者)として記されています。

 

アニメ『フランダースの犬』の最終回で、『キリスト降架』の絵画を見上げる場面があり、ネロはこういいました。
「ああとうとう見たんだ」

「ああマリアさま、僕はもう思い残すことはありません」
そしてネロとパトラッシュは『キリスト降架』の前に横たわり、天使に囲まれて昇天してゆきました。

 

左パネルは、イエスを宿したマリアが夫のヨセフとともに、洗礼者ヨハネを宿した従妹のエリザベートを訪問しているところを描いています。

 

『キリストの降架』左パネルの裏には、聖クリストフォロスが子供のイエスをおぶって川を渡っている場面が描かれています。

これも裏側なんで、意識していないと見逃すかもしれませんので、ご注意ください。

ここでクリストフォロスの説明です。

レプロブスという名前のローマ人はキリスト教への改宗をしたいため、隠者のもとを訪れ、イエス・キリストにより親しく仕える方法を問いましたた。

隠者は人への奉仕が必要で、流れが急な川を示して、そこで川を渡る人々を助けることを提案しました。

レプロブスはこれを聞き入れ、川を渡ろうとする人々に無償で尽くしていました。

ある日、レプロブスは小さな男の子を川渡ししてたところ、川を渡るうちに男の子は異様な重さになり、レプロブスは倒れんばかりになった。

あまりの重さに男の子がただものでないことに気づき、レプロブスは丁重にその名前をたずねたところ、男の子は自らが「イエス・キリスト」であると明かしました。

イエスは全世界の人々の罪を背負っているため重かったのです。

川を渡りきったところでイエスはレプロブスを祝福し、今後は「キリストを背負ったもの」という意味の「クリストフォロス」と名乗るよう命じたのです。

イエス・キリストを背負っている場面を見ましたら、クリストフォロスと思い出しましょう!

 

 

パイプオルガン(17世紀作)です。
中央に聖セシリア(音楽家と盲人の守護聖人)、下の天使達は楽器演奏の場面を彫刻されています。

 

説教壇(18世紀作)です。

壇はヨーロッパ(玉しゃく)、アジア(ターバン)、アフリカ、アメリカ(鳥の羽の衣装)と全世界を表す4大陸を象徴する女性像に支えれています。

壇側面にはキリスト、聖母マリアなどの顔が浮き彫りにされています。

『聖ヨセフ祭壇装飾衝立』です。

側面パネルの絵画は左上は膝まずく教皇ピウス9世とその守護聖人の聖ぺエロで、右上は膝まずくカール2世と聖マテルヌス(キリスト教の最初の司教)・各下は聖人たちです。

 

 

 

最後に「フランダースの犬」で、ほぼ日本人だけでなぜ人気なのか?についてです。

 

「フランダースの犬」は19世紀、帝国主義時代にイギリス人女性「ウィーダ」がベルギーの風俗を批判しています。

ベルギー人の冷酷さ(孤児となったネロを死なせる)

②過酷な労働(毎日往復10km以上のアントワープまでの牛乳売り)

③犬に対しての酷い扱い(老犬パトラッシュは酷使されてる!?)

④貧乏の人はルーベンスの祭壇画を観れない(作者もお金を出してみてます)

これではベルギー人はこの本を嫌いだし、知ってる人も少ないですね。

英国人が偉そうに描いてるので他のヨーロッパ諸国では受け入れられません。

 

一方、アメリカでは「こんな結末では、主人公たちが可哀想過ぎる」という出版関係者の意向により、ハッピーエンドを迎えるように、「ネロとパトラッシュは聖堂で死なない」「ネロの父親が名乗り出る」など改変されています。

 

ちなみに2007年、ベルギー人監督により「なぜベルギーでは無名の物語が日本で非常に有名になったか」を検証するドキュメンタリー映画(A Dog of Flanders -made in Japan- A Documentary by Didier Volckaert & An van. Dienderen)が制作されています。

 

「フランダースの犬」の最終場面の舞台となったアントワープ大聖堂のご紹介はいかがだったでしょうか。

 

 

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