”サンゴリアスが無双のワイルドナイツにどうしたら勝てるか?
はじめに
ワイルドナイツは、2019年7月19日サンゴリアスに負けて以来、4年間無敗です。
どのチームがワイルドナイツに勝つのか――?
ワイルドナイツは無双状態なので、他のチームはいままでの戦術・練習方法では勝てそうにありません。
筆者はサントリーサンゴリアスがそのチャンスに一番近いチームだと考えています。なぜなら今、大きな変革ができそうな気がしているからです。
サンゴリアスの現状と今感じているその変革の“芽”について触れながら今後を考え、ワイルドナイツの勝つ戦術について考えます
(筆者の独断と偏見です!笑)
サントリーサンゴリアスについて
- 5度の優勝!(ワイルドナイツにとともに歴代最多タイ記録)
- 代名詞はエディー・ジョーンズ監督時代からの”ハードワーク”
- 昨年はワイルドナイツに敗れ、リーグ2位。
- 田中澄憲氏が新監督に就任、2022-2023シーズンに新体制発足(2022年9月28日)
新監督「田中澄憲氏」について
- ”明治を復活させた男”として有名。明治大学の監督就任1年目の18年度に22シーズンぶり13度目の大学日本一をつかむ!
- エディー・ジョーンズの監督時代には選手として活躍。その後、大久保直弥(現 静岡ブルーレヴズ アシスタントコーチ)や沢木敬介(現 横浜キヤノンイーグルス 監督)と一緒にチームディレクターを経験。
- 新監督就任とともに、元監督エディー・ジョーンズが掲げた「アグレッシブ・アタッキングラグビー」を回帰させ、チーム哲学に!
- 就任時のコメント:「サンゴリアスのスタイルであるアグレッシブ・アタッキングラグビーを体現し、リーグワンのタイトル獲得にこだわります。そのためにも選手・スタッフ全員が結束し、目の前の勝利にハングリーでハードワークできるサンゴリアスらしいチームを創り上げたいと思います」
- コベルコ神戸スティーラーズからアーロン・クルーデンを新加入させる。
筆者がサンゴリアスに思うこと
- アタッキングラグビーではリーグトップレベル(個人的意見)
- ワイルドナイツとはほぼ同戦力・しかし4年間ワイルドナイツに勝利していない。
- エディー・ジョーンズが掲げた「アグレッシブ・アタッキングラグビー」を回帰させ、サンゴリアスなら、悪くてもシーズン中は2位。
- デクラークが入団しイーグルスが絶好調。サンゴリアスは4位になることもあり、チームの抜本的な改革が必要と思いました。
- しかし、サンゴリアスは攻撃に注力。さらにDNAであるボールを持ち、つなげてトライを続けています。これがもしかしたら勝利が遠のく理由ではないかと思いました。
※ボールを持ち、つなげるラグビーは観ていてとても楽しいのですが・・・・!
サンゴリアスvsグリーンロケッツ(2023.26)後のメディア情報から
- 田中監督
(記者)埼玉パナソニックワイルドナイツ戦のあとに、齋藤直人選手が「ボールを持ち続けることには限界があるから、どこかで手放す勇気が必要だ」とおっしゃっていたのですが、今日はそこを体現できたということですか?
⇒「そうですね。今日はこういう天気なので、最初からそれがプランとしてあってできたと思うのですが、ボールを動かせる天気の中でそういう判断をしていくことが課題だと思います。今日みたいな天気(雨)で逆に割り切って蹴っていったことが出口としてどうなっていったかをしっかりレビューすれば、蹴ってもいいんだなと、思い切って蹴っていこうというプレーも選択できると思います」
引用:https://league-one.jp/news/2226 - 堀越康介(共同キャプテン) 2番フッカー
(記者)前半のアーロン・クルーデン選手からのキックでつながったトライの場面を、グラウンドの中で見ていてどのように感じましたか?
⇒「雨なので、効果的にキックをして、そこにしっかりプレッシャーを掛けていくところで、それがしっかりハマったと思います。頼もしかったというか、すごくきつい時間だったのでうれしかったです」
引用:https://league-one.jp/news/2226 - 中村 亮土 前キャプテン 12番センター
(記者)中村選手を含め、バックス陣の良いキックがプレー中に多いと思いますがいかがでしょう?
⇒今シーズンは、キックを上手くアタックの中に混ぜ込みながら、9番、10番の選手だけでなく、外側の選手もキックのオプションを持ちながらアタックするということを意識しています。特に僕なんかはキックも得意にしているタイプなので、上手くサンゴリアスのラグビーにアジャストしながら使いたいなとは思っていて、それが今の戦術にとてもマッチしていて、良いところでキックの好判断が出来ているのかなと思います。バックス陣もみんな誰に預けても打開してくれますし、外側にそういう選手がいると内側はとてもやり易いです。迷った時は先にボールを渡す、という判断もしています。(記者)リーグ戦1位の埼玉パナソニックワイルドナイツと比べてどうですか?⇒ワイルドナイツも素晴らしいですね。ワイルドナイツはどちらかと言うとゲームの理解力が高いチームで、自分たちの戦い方を80分間通してやっているチームだと思います。
引用:https://www.suntory.co.jp/culture-sports/sungoliath/spirits/2303-842.html
以上の情報から、堀越選手、中村選手、齋藤選手はキック戦略に賛成のようです。
サンゴリアスが無双ワイルドナイツに勝つには?
1.戦略
それでは、筆者が考えたサンゴリアスがワイルドナイツに勝つ戦略とは?!
もうお分かりかもしれません。
”アタッキングラグビー”から「キック」を中心としたチームにすることです。
理由を述べます。
具体的には”大好きなボール”を敵に渡し陣地をとり、得意のハードワークで敵にプレッシャーをかけ、反則を待つか、ラック攻防でターンオーバー(ボールを敵から奪って攻撃へ)を狙うというものです。
クボタ攻略にはマルコム・マークスから離れた空いたスペースを蹴ることが必要と思います。
ただ、ワイルドナイツは修正が高いため、多くのキックオプションが必要です。
そのキック戦術とその対応する選手は考えました。
・ロングキック
⇒クルーデン、松島
・グラバーキック:ディフェンスライン突破の時などにボールを転がす(クラバー)キックです。
⇒クルーデン、中村
・ハイパントキック:ボールを高くあげるキック。
⇒クルーデン、流、尾崎(兄)、松島、河瀬
勝つためのキーマンはアーロン・クルーデンです。
筆者は田中監督就任時点ではサンゴリアスをリーグ優勝を考えると、アーロン・クルーデンか、バーナード・フォリー(クボタ)が必要と考えます。
おそらく田中監督は就任前から、キック戦略を考えていて、神戸スティーラーズの「アーロン・クルーデン」の加入を強く要望したのではないかと推測しています。
キック戦略を考えると、松島選手と河瀬選手のさらなる活躍と、新人の雲山選手・髙本選手も、今後の活躍が期待されます。
つまり、田中監督はGM時代からキック戦略を考え採用を決めたのでは、と想像していました。
というのも、筆者は大学ラグビーも見ていますが、筆者の中での最優秀選手といえば、2021年は河瀬選手、2022年は髙本選手です。その二人が、サンゴリアスに入団しました。キック戦略には絶対にほしい選手だと思っていました。河瀬選手はフィジカルとコミュニケーション能力、そしてロングキックがより得意になれば、日本代表フルバック山中選手の後継者となるような逸材だと思います。
また、GMの立場では監督がする現場の仕事に口はだせないため(多分、降格になります)、監督になってGMから考えていたビジョンを現場で実現したかったのではないかと思っています。ちなみに田中監督はサンゴリアスの選手引退後、エディー・ジョーンズ監督時代に広報やリクルートを担当後、コーチとなりました。そののち、GMから現在の監督になっています。
まさに現場サイドを知り尽くした監督だと言えるのではないでしょうか。今後も田中監督の戦略に注目していきたいと思います!
今こそ、”アタッキングラグビーとは何か?”を全員で改めて考え直し、イメージを創り出し、全員で共有化し、実戦で体験していく必要があると思います。
これが、本当の意味での”アタッキングラグビーの回帰”と思います。
2.レジリエンス強化
レジリエンスは耐久力、再起力、困難をしなやかに乗り越え回復する力(精神的回復力)のことです。
中村選手は「ワイルドナイツはどちらかと言うとゲームの理解力が高いチームで、自分たちの戦い方を80分間通してやっているチーム」と言います。
ここでいう「ゲームの理解力・・・」とは、前半敵の戦術を理解して、後半に対応できるよう”再起力”について、
「自分たちの戦い方を80分間通してやっている・・・」は”耐久力”について語っていると思います。
サンゴリアスもワイルドナイツレベルにレジリエンスを高くしていく必要があります。
中村選手の話から、レジリエンスを高めるのは相当難しいことだと思いますが、だからこそ、レジリエンス向上のために注力していくべきだと思うのです。
まとめ
サンゴリアスがワイルドナイツに勝つには次の2つが必要
①キック戦略の全メンバーへの定着・実践・ブラッシュアップ(雨以外でも)
②レジリエンス(耐久力、再起力、困難をしなやかに乗り越え回復する力)の向上
堀越キャプテン、中村選手は雨の日ではキックの重要性を理解しています。
これからの3試合、プレーオフで、雨以外でもサンゴリアスがどれくらいキックをするか、それで陣地取りやトライでどうであったかを注目しましょう!
キック頻度として、3回の密集(ランしてタックルされ、球出しをしてが3回)までキックしているかで観ればいいと思います。
この続編として、”ラグビーと自己成長”について書きたいと思います。
乞うご期待!
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