電力自由化の影響~料金メニューの多様化~

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 理解しやすくするため、内容を更新しました。


 前回は、電力自由化の変化として「エネルギー自給自足の家の普及」について説明しましたが、今回は、「料金メニューの多様化」について、国家資格 消費生活アドバイザーの立場から説明したいと思います。

 前回を見るには次のURLをクリックしてください。

 http://ameblo.jp/la-luna-sarah/entry-12127552833.html


 電力自由化によって料金プランは次のように多様化(朱字は新規)します。

1.使用量の削減を促す料金プラン(従量制)

2.夜間電力活用プラン

3.ピークシフトを促す料金プラン

 3-1 時間帯別制(全日)

 3-2 時間帯別(季節別) 

 3-3 時間帯別制(特定日のみ)

 3-4 ピーク別制(電力不足予想時のみ) 

 3-5 リアルタイム制
 3-6 実量制

4.電気代の高い世帯優遇プラン

5.節電協力制(ネガワット取引)


以下、上記の各プランについて紹介します。

事例として、最も加入世帯が多い東京電力(全世帯の約3割)のプラン例で紹介いたします。


1.従量制

 従量制は現行の従量電灯契約で、加入が最も多いプランです。現在、新電力はこの従量制プランのみと思います。


 従量制は使用量が多くなると単価を高くします。下表は東京電力の従量制の新プラン(スタンダードプラン)です。

 


 現行プランは3段階でしたが、最初の段階(120kWhまで19.43円)が廃止され、2段階に減らされました。

 電灯契約の全世帯に対して値上げとなり、特に単身世帯(およそ120kWh使用)には20%以上の単価アップになっています。

 したがいまして、新プランへの変更はされず、現状維持か、新電力の選定を検討されるといいかと思います。



2.夜間電力活用プラン

 原子力発電が24時間稼動で、過剰な夜間電力を安売りして消費してもらうプランです。

 そのため、原発の再稼動されにくい今、夜間電力単価をアップせざるを得ない状況です。


 具体的には東京電力の夜間電力は現行12.16円/kWh(電化上手)から17.46円/kWh(スマートライフプラン)で40%以上の単価アップになっています。

3.ピークシフトを促す料金プラン

 ピークシフトとはピークとなる昼間の使用を他の時間帯に移すことです。そのピークシフトを促すため、昼間の単価を従量制の平均単価(フラットレート)より高めに設定します。


3-1 時間帯別(全日:365日対象)

 下図のように時間帯によってピーク料金をフラットレートより高めに設定するプランで、現在でもあるため、電気代を考え、昼間の滞在が少ない世帯に選ばれるお得なプランです。


 現行の時間帯別プランは来月で廃止されると思いますので、今、昼間の滞在が少なく従量電灯契約の方は、時間帯別プランの検討をおすすめします。

 来月までに契約されると、最低限2020年3月まで継続可能です。

 東京電力なら、「半日お得プラン」がおすすめで、夜9時~朝9時まで12.59円/kWhです。

 フラットレート(平均単価)の約半分と、かなりお得な単価設定ですので、共働き家庭ではお得になりやすいと思います。

 また、プラン検討の際、東京電力のでんき家計簿を使われると過去の夜9時~朝9時の電気使用量が計算でき、電気代比較が可能であるため、おすすめです。


※スマートメーターの設置が必要です。スマートメーターの設置有無がわからない場合は電力会社にお問い合わせください。もし設置されていなくてもWebサービスの使用を理由に設置してくれるラッキーなケースもあります。費用がかかるものですので、「いづれ交換するので待ってほしい」といわれるかもしれません。


3-2 時間帯別(季節別)

3-3 時間帯別(特定日)

 ピークが多い夏季・冬季やピークが予想される日(激暑、盆休み、年末年始など)の昼間の単価を平均単価(フラットレート)より高めに設定するプランです。



 電気代を安くするため、夏季・冬季などの日数の絞込みなどを行い、特定日のみの単価をアップするプランがでてくるものと思います。


 今後、電力不足リスクの解消のため(単価が高くなると使用量を減らそうという心理を利用)、3-1の全日より、この方が増えてくる可能性が高そうです。

3-4 ピーク別制(電力不足予想時のみ)

 電力不足が発生しそうな場合に、事前にお知らせした上で、電気の単価をアップさせるプラン。

 上記3-1~3-3との併用があり、下図は時間帯別料金に電力不足予想時に点線のように単価をお知らせした上でアップさせます。

 電力会社は電力供給不足時に単価アップできることで、既存電力会社への供給バックアップのお礼金(電気の単価と同等ぐらいで高価)に充当できます。

 このお礼金については次からみてください。

 http://ameblo.jp/la-luna-sarah/entry-12123486969.html

 太陽光発電を主電源にしている新電力は雨になると供給電力が大幅に低下し、既存電力会社へのお礼金が莫大になるため、供給電力不足時の単価アップを受け入れてもらえる加入者はVIPとして扱われ、基本料金など安く設定し、消費者へのメリットがつくられると思われます。

 メリットの例としては下記5の適用で、節電すれば、その節電量を発電量としてみなし、新電力からお金やポイントクーポンがもらえたりします。



3-5 リアルタイム制(新規)
 電力の需要と供給から単価が契約者にお知らせがなく、リアルタイムに変わるプラン。

 このプランは3-4の事前お知らせがない分、電気が余っているときは電気代をさげてくれるメリットがあります。

 3-4は電力不足前に単価をアップするのみです。

 この方法だと、新電力は電力不足による既存電力会社への高額なお礼金が消費者の価格アップで充当できるため、消費者に選んでもらいたいプランになると思います。

 リスクも大きいプランですが、過去の単価変動を見て、単価が安い時間帯に電気使用量が多い家庭におすすめです。

 ご自宅の電気使用量を見るには、電力会社のWebサービスやHEMS(ヘムス)が活躍します。

 HEMSについては次から見てください。

 http://ameblo.jp/la-luna-sarah/entry-12126108192.html



3-6 実量制(新規)

 過去、非住宅部門では既に導入済みのプロ仕様のプランで、この4月から東京電力が4つのすべての新プランに採用しました。

 ただし、スタンダードプランは従量制か実量制かを選択可能です。

 東京電力の実量制は過去1年のスマートメーター計測(30分ごとの計測)の最大値の2倍したものが契約電力となります。

 基本料金は契約電力(W)×450円/Wとなり、固定でなくなります。

 東京電力のQ&Aの抜粋です。


上図のような使い方をした場合、契約電力は次のようになります。

4月:2kW

5・6月:3kW

7~12月:4kW

1~6月:5kW

 このように30分計測で一度多く電気を使ってピークをつくってしまうと過去1年最低、そのピーク電力の基本料金を支払うことになります。

(契約電力は1年間キープできるか、あがるかのどちらかで、1年間下がることはないです。)

 逆に、電力会社WebサービスやHEMSなどを活用してピークを出さないように工夫した家庭は契約電力を小さくできます。

 Webサービスではできないのですが、HEMS(ヘムス)を活用するとピークの原因(IHCH、浴室乾燥機、食器乾燥機などの同時利用など)がわかるため、気をつけて生活をすることで、ピークを更新しないようにできます。

 HEMSについては次から見てください。

 http://ameblo.jp/la-luna-sarah/entry-12126108192.html

 スマート契約で気になる点は・・・

契約電力は1時間の電気使用量から計算するため、過去1年の30分計測最大値を簡易的に2倍して、1時間の使用量に換算しています。


 過去1年のピークの前後30分間がそのピークと同じ使用量になることはほとんど考えられないため、30分間最大値の2倍計算(単純1時間換算)では多めに算出されてます。

 スマートメーターですので、1時間単位での過去1年の最大値で計算してほしいところです。

※国家資格 応用情報技術者のため、簡単なソフト変更で可能と思いますが、既にスマートメーターが設置されているため、現状ではソフト変更は困難です。

 今後、すべてのスマートメーターが電力会社のネット網に接続された時点でソフト書き換えで可能になりますが、書き換えミスという大きなリスクがあります。

 スマート契約は情報弱者には不利のため、電力自由化によって自己責任時代の突入になり、いきなりハードルが高いですので、気がかりです。

 

 東京電力管内の新築の約3割(従量制以外で例えばオール電化契約)の世帯が、何も考えないと実量制(スマート契約)対象になりますので、消費者への確実な情報発信は必要と思われます。

4.電気代の高い世帯優遇プラン

 これは電気代が高い、すなわち超優良顧客を囲い込むためのプランができます。

 省エネとは逆行するものですが、電力会社の安定経営には重要顧客となりますので企業としては仕方ないことです。

 東京電力の新プランでは使用電力の多いオール電化世帯は、オール電化用プラン(スマートライフプラン)ではなく、電気代の高い世帯優遇プラン(プレミアムプラン)の方がお得になります。

 注意すべきことは一番囲い込みたい顧客ですので、契約プレゼントは良いものになるのですが、長期契約のしばりになりやすいプランですので、要注意です。

5.節電協力制(ネガワット取引)

 この内容は深いため、次回に説明したいと思います。


■つづきは次から見てください。

 http://ameblo.jp/la-luna-sarah/entry-12128627074.html

■電力自由化の記事一覧(目次)は次から見てください。

 http://ameblo.jp/la-luna-sarah/entry-12133751412.html


■旅行以外に多くのジャンルの記事を書いています。その目次は下記からみてください。

 http://ameblo.jp/la-luna-sarah/entry-11076468738.html



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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


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