電力自由化の影響~ネガワット取引の開始~

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 前回は、電力自由化の変化として「料金メニューの多様化」について説明しましたが、今回は、「デマンドレスポンスの拡大とネガワット取引の開始」について、国家資格 消費生活アドバイザーの立場から説明したいと思います。

 前回を見るには次のURLをクリックしてください。

 http://ameblo.jp/la-luna-sarah/entry-12127619690.html


 まずはデマンドレスポンスは、ディマンドレスポンスや略してDR(Demand Response)と呼ばれ、消費者の電力使用ピークを下げることを言います。

※引用:総合資源エネルギー調査会 長期エネルギー需給見通し小委員会(第5回会合) 資料5


 上図のように、消費者(需要家)のピークを下げるため、2つの手段があります。

①電気料金型デマンドレスポンス

②ネガワット取引(インセンティブ型デマンドレスポンス)

 太陽光発電は天候に左右されるため、雨の日の発電不足が太陽光発電の普及の課題となっていますが、このデマンドレスポンスとの併用で、太陽光発電の普及が加速化すると期待されています。

 前の記事のプラン多様化で、上記①は下記3、上記②は下記5にあたります。

1.使用量の削減を促す料金プラン(従量制)
2.夜間電力活用プラン
3.ピークシフトを促す料金プラン
 3-1 時間帯別制(全日)
 3-2 時間帯別(季節別) 
 3-3 時間帯別制(特定日のみ)
 3-4 ピーク別制(電力不足予想時のみ) 
 3-5 リアルタイム制
 3-6 実量制
4.電気代の高い世帯優遇プラン
5.節電協力制(ネガワット取引)

以下、デマンドレスポンスについて説明いたします。

①電気料金型デマンドレスポンス

 このデマンドレスポンスは各地で実証実験されています。

 下図は上記3-1の時間帯別料金(Time of use: TOU)でピーク時間帯の単価を平均単価の2倍にした結果です。

 ピーク時に単価アップで約10%のピークカットが実現できています。


 ※引用:総合資源エネルギー調査会 長期エネルギー需給見通し小委員会(第5回会合) 資料5

 下図は上記3-4のピーク別料金(Critical Peak Pricing: CPP)で電力不足が予想された場合に、お知らせした上で単価アップするものです。

 当時の北九州の平均単価は21円ぐらいですので、CPPが150円のときは約7.5倍にアップさせています。

※引用:総合資源エネルギー調査会 長期エネルギー需給見通し小委員会(第5回会合) 資料5

 上図より、電力不足予想時に、お知らせすることで、約15~20%ぐらいのピークカットができそうです。

 新電力は太陽光発電など再エネの割合が多くなるため、雨などでは電力不足が発生しやすい(既存電力会社はバックアップしますので停電は起こりませんが、新電力は既存電力会社に高いお礼金を支払うことになります)ため、この手法は有効と思われますので、今後、導入が進むと思われます。

 

 この事前お知らせは、PC、スマホ、HEMSなどを通じて行われると思います。

②ネガワット取引(インセンティブ型デマンドレスポンス)

 ネガワット取引は電力(ワット)の削減分(ネガティブ)を売買する取引で、電力会社の節電要請時に、節電量(削減分)※が発電量とみなされ、電力会社から報奨金・ポイント・クーポンなどがもらえる仕組みです。

※節電量の計算方法

 経産省が「ネガワットに関するガイドライン」で節電量の計算を決定しました。

 節電要請があった場合、経産省は節電要請なしと仮定したときの電気使用量予測(ベースライン:点線部)計算方法を決め、その予想電気使用量(点線部)と実際の電気使用量の差が節電量として計算できるようにしました。

※引用:総合資源エネルギー調査会 長期エネルギー需給見通し小委員会(第5回会合) 資料5

 下図がアメリカの実施例で、DRで約10%のピークカットが実現されています。

※引用:総合資源エネルギー調査会 長期エネルギー需給見通し小委員会(第5回会合) 資料5

上図から家庭関連で注目すべき点は2つです。

①インセンティブ型(ネガワット取引)の方がピークカット量が多い。

 お金など報奨があるほうが人は動きますよね。

②ピークカットに一番効果のあるのは「直接負荷制御」です。

 これは電力会社が契約者の負荷(エアコンなど)を制御するものです。エアコンを使いたいときに温度制御などをされるのは嫌ですが、その分、電気代や報奨金などでメリットがあります。


 インセンティブ型で2番目に効果があるのは緊急時需要応答で、これは電力会社が契約者に節電要請して、契約者が節電するものです。


 日本ではHEMS(ヘムス)導入を国が進めており、2030年までに全世帯普及の方針があります。

 ヘムスについては次から見てください。

 http://ameblo.jp/la-luna-sarah/entry-12126108192.html


 ヘムスが導入されてることにより、このデマンドレスポンスは大きく進歩します。


ヘムスの機能は、

 ①電気の見える化

 ②機器の自動制御

があり、電力会社とヘムスがつながることで次の3つが行えます。

(a)節電要請時にはヘムスにプッシュでお知らせ


(b)契約者は節電要請が来るとヘムスから設備や家電を手動で制御する。

(c)契約者が予め節電要請時の制御を設定しておけば、節電要請がきたら、ヘムスが設定どおりに、設備や家電を自動で制御する。

 下図は電力会社と設備と家電とのつながりのイメージ図です。クラウドとヘムスを使ったデマンドレスポンスやサービスが今後、展開されます。

※引用:総合資源エネルギー調査会 長期エネルギー需給見通し小委員会(第5回会合) 資料5


 デマンドレスポンス以外にも国はヘムスから得たデータを使った以下のようなサービスを予想しており、新規ビジネスを創出する計画です。

※引用:総合資源エネルギー調査会 長期エネルギー需給見通し小委員会(第5回会合) 資料5



 今後、ネガワット取引の普及により、ヘムスを活用して、報奨金、ポイントを獲得していく方法が普及していきそうです。

 特に新電力は太陽光発電をメイン電源にしたいと思う(予算少なく、一般家庭からも買取もできる)ため、雨のときの電力供給不足の対策としてはヘムスで自動制御して節電に協力してくれる契約者はVIPとなると思います。

 当然、VIPとなれば、割安な料金体系、報奨金が多いなどのメリットをつくってくると思われます。

 もし電力供給不足がつづけば、不足分を補ってくれた既存電力会社に高いお礼金を支払うことで、経営体質が弱化していきます。

 以上から、ネガワット取引は新電力の電力不足解消に重要であり、消費者は報奨がもらえるというWIN-WINの関係から拡大していくものと思われます。

 このようにヘムスは今後、次のメリットから、国はヘムスの普及を推進しています。

①電気見える化による節電(平均11%節電効果あり)

②ヘムスの自動制御によるピークカット

新電力の育成(電力不足の縮小化のため)

④ヘムスからのビックデータ活用による新ビジネス創出


 次回は、電力自由化の影響として、「セット割、生活サポートなどの新サービスの登場」について紹介したいと思います。


■つづきの記事は次から見てください。

 http://ameblo.jp/la-luna-sarah/entry-12127513932.html

 

■電力自由化の記事一覧(目次)は次から見てください。

 http://ameblo.jp/la-luna-sarah/entry-12133751412.html


■旅行以外に多くのジャンルの記事を書いています。その目次は下記からみてください。

 http://ameblo.jp/la-luna-sarah/entry-11076468738.html



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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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