電力自由化による石炭火力発電への影響

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 前回は、「電力自由化による原子力発電への影響」について説明しましたが、今回は、「電力自由化による火力発電への影響」について、国家資格 消費生活アドバイザーの立場から説明したいと思います。

 まずは各発電(各電源)の特徴についてです。関西電力のHPから抜粋しました。

 上表により、石炭火力はC02の排出量が最も大きいのですが、電力自由化によって、上表と前回の記事(原発の発電コスト)から石炭火力発電が今後、増加すると思われます。その理由は下記5つのとおりです。
原子力発電コストは実際には、事故リスク対応費、政策経費などを考慮すると火力発電より高い。
 その理由の詳細は次からみてください。

 http://ameblo.jp/la-luna-sarah/entry-12131143498.html


②水力発電は新たに建設できる場所が少ないため、水力発電を除くと石炭火力発電コストが一番安い。


③小売価格を安くするためには、発電コスト(全体の約60%)を下げるのが一番効果的。
 ※送電コストは全体の約35%だが、既存電力会社に借りるため、コスト削減不可。


④環境省は去年6月に温室効果ガス削減の観点から、石炭火力発電は「是認できない」としてきたが、2016年2月7日に条件付きで石炭火力発電所の建設計画を丸川環境相が容認。

※その条件とは次のとおりです。

 (a)電力業界が削減の状況を監視する新たな組織を作ること

 (b)監督する経済産業省が対策を強化する

 (c)電力事業者が今後、削減目標を達成できない可能性がある場合には規制などを改めて検討する


 結局、環境と経済の両立は難しく、環境省のいう条件を認めて(花を持たせた形で)、経済の方が優先されました。


 既存電力会社と有力新電力の石炭火力発電の取り組み方針についてです。

①東京電力
 量と単価での燃料費削減に戦略的に取り組み、火力発電の生産性を倍増。


②東京ガス
 2020年代半ばで、200万kW(原発2基分)の石炭火力発電所を建設予定(出光興産と九州電力と共同)。
 石炭価格は天然ガスの約半分のため、ガス会社でも石炭火力を選択しており、石炭火力は火力発電の主流となっていきそうです。

 もし今回の電力自由化がなければ国は従来どおり既存電力会社に発電(電源)について注文をつけますので、「石炭火力発電は環境によくないので、なくす方向で、代わりにガス発電を増やしていきましょう。その代わり、電気代をあげてもいいですよ!」という国の方針になります。

 電力自由化の価格競争によって、発電コストに優位性のある石炭火力は今後、増加していくと思います。


 ただ、石炭火力の発電電力量当たりのCO2排出量は大きいという問題点があり、石炭は環境面で「悪者扱い」されていますが、石炭には次のようなメリットがあります。
①燃料単価が安い。石炭の単価は天然ガスの約半分。

②石炭は、供給源が原油や天然ガスのように特定地域に集中しておらず、エネルギーセキュリティにおいて優位性を有しています
 もし中東で戦争が発生すれば、原油の輸入量が減り、日本経済に大打撃があります。


石炭火力発電の熱効率では日本は世界最高クラスで、その技術を国際移転すれば、すぐにでもCO2排出量を大幅に削減が可能です。

③は特に重要です。
 IEA(国際エネルギー機関)の2004年主要国と世界の発電電力量の電源別構成比によると、石炭火力のウエートは次のとおりです。
 日本:27.2%

 ※日本は国が電気代を高くしても環境を優先させたため、石炭火力比率が低い。
 中国:77.7%
 インド:69.1%
 アメリカ:50.1%
 ドイツ50.0%(再エネ先進国でも高いです)

また、世界全体の発電電力量の電源別構成比は次のとおり。
 ・石炭:39.6%
 ・天然ガス:19.5%
 ・水力:16.5%
 ・原子力:15.6%
 ・石油:6.7%

 以上のように、世界の発電の主流を占めるのはあくまで石炭火力であり、たとえ日本でだけ石炭火力を縮小しても、日本のCO2排出量は世界のたった約5%のため、国際的な石炭火力依存が変わらない限り、地球環境問題の解決策とはならないことです

 石炭火力発電の熱効率に関して、日本は、ドイツ・アメリカ・中国・インドを凌ぎ、北欧諸国と並んで世界トップクラスの実績をあげています。

 したがって、日本は他国を圧倒する低価格・世界最高効率の石炭火力発電所を開発すれば、次のメリットがあります。

①日本経済は石炭火力技術を輸出でき、日本経済は潤う。
 

②また、世界のCO2排出量を大幅に減少させることができ、世界に貢献できる。


③発電コストが下がるため、多くの電気を使う会社(製造業など)はコストが下げられる(商品が安くなる)。

 以上のように電力自由化により、石炭火力発電の技術は進展し、石炭火力が普及していくことが考えられます。

 もし、大幅にCO2削減ができなければ環境省から石炭火力縮小の指示があり、世界主流の石炭火力発電という巨大なマーケットに参入できず、日本だけは石炭火力のかわりに天然ガス発電が普及していくと思います。


 ここで、私は国が石炭火力と再エネ(太陽光、風力、バイオマスなど)の技術開発に補助を出し、それを国内普及だけでなく、世界に輸出して、「エネルギー技術大国」として国力を上げ、世界のCO2削減に貢献することがとても重要と考えています。


 グローバル化によって電気製品では中国・韓国が優勢になる中、車や新幹線・電車以外にも安全かつ環境貢献できる製品を国をあげて育成していくべきと考えます。


 環境省も日本だけのCO2排出を考えるのではなく、世界のCO2排出量を減らすために日本は何ができるかを考えてほしいと思います。


 次回は、電力自由化の影響として、「再生可能エネルギー(太陽光発電など)の拡大」について説明したいと思います。


■つづきはつぎから見てください。

 http://ameblo.jp/la-luna-sarah/entry-12133747409.html

■電力自由化の記事一覧(目次)は次から見てください。

 http://ameblo.jp/la-luna-sarah/entry-12133751412.html


■旅行以外に多くのジャンルの記事を書いています。その目次は下記からみてください。

 http://ameblo.jp/la-luna-sarah/entry-11076468738.html



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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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