電力自由化による原子力発電への影響

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 前回は、電力自由化の変化として「セット割、生活サポートなどの新サービスの登場」について説明しましたが、今回は、「原子力発電への影響」について、国家資格 消費生活アドバイザーの立場から説明したいと思います。

 前回を見るには次のURLをクリックしてください。

 http://ameblo.jp/la-luna-sarah/entry-12127513932.html



今回は原子力発電所への影響について説明したいと思います。

 原子力発電は火力発電と比較し、建設コスト、建設期間、廃炉費用、廃棄物処理費用、警備費、開発費、立地費、事故リスク対応費、政策経費などを考慮すると、原子力の経営的なメリットはないと思われます。

 原発はいずれ寿命で廃炉になるため、国が原子力発電所建設をどうするかにかかっているように思います。

私たちがよく原発は発電コストが安いといわれる数値は、

 ・資本費(建設費用など)

 ・燃料費

 ・運転維持費(人件費など)

 ・発電量

で計算され、次の項目は見込まれていません。

 ・廃炉費用

 ・廃棄物処理費用

 ・政策経費(開発費、電源立地対策費など)

 ・追加的安全対策費

 ・事故リスク対応費

 ・警備費

 ・揚水発電コスト


それぞれについて詳しく説明します。

①建設費用、建設期間、廃炉費用 

100万kW発電所の建設/撤去コスト/建設期間(目安)は次の通りです。

・原子力発電 約3500億/570~770億/5年

・火力発電 約1000億/40億/2~2.5年

原子力の建設/撤去コストはとても高いことがわかります。


②廃棄物処理費用

 原発の使用済み燃料の廃棄場所の確保が困難で、その処理方法も確立されていないため、危険なものがたまる一方です。

 以前、高速増殖炉もんじゅで廃棄物を再処理して、原子力発電に再利用する予定でしたが、事故により頓挫しています。

 「もんじゅ」には総額約一兆円の税金が使われています。

 さらに、再処理したプルトニウムは核兵器の材料となるもので、日本は世界第5位の保有国(2011年)となっています。

 上4位はご想像のとおり、ロシア、アメリカ、イギリス、フランスです。

 また驚くのはその量で、日本は45トンのプルトニウムを保持しており、核爆弾5000発分もあります。

 このプルトニウムの一部はフランスやイギリスにも管理してもらってますが、その警備はテロ対策としてとても重要です。この対応や費用はどうなるのでしょうか?

③政策経費

イ:開発費

 開発費とは電源開発促進税といわれ、発電施設の設置促進、運転の円滑化、利用促進、安全確保、電気の供給の円滑化などを目的とした国税、目的税の一つです。


 東京新聞の調査では次の通りです。

 電源開発促進税(2008 年度は3300億円)の半分以上が、経済産業省や文部科学省など官僚OBが役員を務める独立行政法人や公益法人、民間企業などに支出されている。

 大口の支出先は、日本原子力研究開発機構の1226億円、原子力安全基盤機構には225億円であった。

 いずれも4人の役員がいるが、全員天下りで平均年収は研究開発機構が1570万円、安全基盤機構が1860万円であった。

(引用終わり)

 立命館大学・大島堅一教授によると、開発平均単価(2000~2007年)は原子力1.18円/kWh、火力0.01円/kWh、水力0.10円/kWhと原子力が突出していることがわかり、原発によって私たちの家計に大きな負担になっていることがわかります。

 一般家庭で原子力のために毎月500円も負担していることになります。(税金が使用されています)

ロ:電源立地対策費

 これは原発では電源立地地域対策交付金といわれ、発電用施設の周辺地域における公共用施設の整備等を促進し、地域住民の福祉の向上をはかり、発電用施設の設置及び運転の円滑化に資することを目的とし、当該都道府県市町村等へ交付されます。

 立命館大学・大島堅一教授によると、電源立地対策費平均単価(2000~2007年)は 原子力0.46円/kWh、火力0.11円/kWh、水力0.10円/kWhとなっており、これも原発が高いことがわかります。


④追加的安全対策費

 東日本大震災の影響による東京電力福島原子力発電所の事故を踏まえ、平成23年11月時点(新規制基準施行前)で追加的安全対策として国が指示した対策等に要する費用をいいます。

 コスト等検証委員会では、0.2円/kWhで、一般家庭で毎月約100円負担してることになります



⑤事故リスク対応費

 次のように追加的廃炉費用と損害賠償費用などがはいります。福島第一原発の事故リスク対応費は5.8兆円と見積もられています。

 このコストは0.54円/kWhで、一般家庭で月250円もの負担増になります。

⑥警備費

 原子力発電所はテロの標的になるものです。平和ボケの日本で外国に比較して警備はゆるいと思いますが、適切な(厳重な)警備体制が必要で、このコストはまだ算定されていません。

 原発の安全対策は幅広いものですが、ドローンなどあるなか、テロ対策はますます困難な方向に向かっています。

 また、テロ攻撃があれば、「想定外」で終わるのでしょうか・・・


⑦揚水発電

 原発は昼間と同様に夜もフル稼動しているため、夜に電気が余ります。そこで、夜に余った電気で水をくみ上げ、昼に水を落として発電させる(揚水発電)ようになっています。

 

 立命館大学・大島堅一教授の計算によると、昼しか稼動していないため、発電コストは51.87円/kWhで、水力発電は7.08円/kWhですので、揚水発電コストは異常に高いことがわかります。


 そのため、揚水発電を含めると原子力発電コストは10.13円/kWhで、火力発電9.8円/kWhより発電コストが高くなります。

 原子力と揚水発電はセットになっていますが、国や電力会社は原子力発電コストを小さくみせるため、揚水発電を原子力発電とは切り離して水力発電として計算しています。

 このような国の情報操作はおそろしいものです。


 今後、電力自由化により、原発コストはより注目されると思います。原発は発電コストや安全面でデメリットがあることがお分かりいただけたと思います。


 今回、金額をあげてる一部だけ(③政策経費、④追加的安全対策費、⑤事故リスク対応費)で、一般家庭で毎月、1000円以上を税金(エネルギー対策特別会計など)や電気代で負担していることになります


 このように国民にとってデメリットの大きい原発を国や既存電力会社は建設をするのでしょうか。

 今のところ、原発の寿命を長くして、稼動させていくようですが、建設されなければ、自然消滅していきます。

 次回は、「火力発電所への影響」について説明したいと思います。

■つづきは次からみてください。

 http://ameblo.jp/la-luna-sarah/entry-12133656929.html


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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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