今回はブランドとメーカーのランキングの違いやブランド戦略についてです。
以前の登山靴のメーカーとブランドのランキングを紹介しましたが、ブランドランキングとメーカーランキングはどう違うのでしょうか?
登山靴でメーカーとブランドの違いのわかる例をあげます。
キャラバンという日本の登山靴メーカーがありますが、その会社のブランドとして、キャラバン(社名と同じです)とグランドキングがあります。
したがって、メーカーランキングでは、キャラバンとグランドキングの両ブランドを加味してキャラバンでランキングし(グランドランキングはメーカーランキングにはでることはない)、ブランドランキングではキャラバンとグランドキングのそれぞれをランキングします。
通常、登山靴メーカーは上記のキャラバンと違って、1つのブランドの場合が多いです。
グランドキングはブランドのキャラバンの上位モデルとして位置づけ、グランドキングというブランドを高めることでキャラバンというメーカーとしての企業価値を高める戦略のようです。
推測ですが、、キャラバンという企業名、ブランド名に投資しても効果が少なく、以前のキャラバンのイメージから脱却して、高級路線のイメージアップから、いい靴をつくる企業として認識してもらいたいというブランド戦略があったのでしょうか。
またはグランドキングという上位モデルの新しいブランドで、いい靴をつくったことを強調し、ブランドイメージを向上させ、高価格帯での販売を伸ばしたかったからでしょうか。
新しくブランドをつくるというブランド戦略は、そのブランド価値を高めるために、より大きな投資が必要で、企業として大きなリスクが伴います。
1社のメーカーで1つのブランドが投資効率は非常にいいですが、上述のように、企業価値を劇的に上げる方法として新しいブランドをつくることがあります。
電機メーカーでいうとシャープでは、液晶テレビで亀山ブランドをつくり、世界モデルとなり、企業価値をかなり向上させました。
しかし、液晶の販売が不況になると亀山ブランド(亀山工場:最新鋭設備による液晶テレビの一貫生産と生産設備のブラックボックス化が工場の特徴)への投資が裏目にでてしまいました。上述しましたように、新しいブランドを立ち上げることは大きなリスクテイクが必要であり、その前に、永続性、普遍性を加味した将来の展望をよく見据えることが重要であることがわかります。
次に、日本でブランド戦略がもっとも進んだ企業の1つであるパナソニックを事例に述べていきたいと思います。
パナソニックは多くのブランドを乱立させ、ブランドに翻弄された過去があり、ブランド戦略の失敗と成功をあわせもち、事例として相応しいため、今回、パナソニックについて詳しく書くことにしました。
まずは、パナソニックのブランド変遷です。
パナニックのHPより http://panasonic.co.jp/brand/history/
最初は、多くの人がよくご存じのナショナルブランドからです。
松下電気器具製作所(後の松下電器産業、現在のパナソニック)は、1927年にナショナルブランドを制定し、世の中に浸透し、ブランド価値を高めることに大成功しました。
しかし、「National」の商標が米国など海外で登録されていたことと、「ナショナル」という響きが「国家主義」と取られかねないため(形容詞で「国立」「国家の」の意)、海外で使えるブランドが必要となりました。
そこで、輸出用スピーカーのブランドとして、1955年、パナソニックというブランドをつくりました。
Panasonic(パナソニック)は「汎、あまねく」の意の「PAN」と「音」を意味する「SONIC」と組合せ、「当社が創りだす音をあまねく世界中へ」 という思いが込められているとのことで、パナソニックはまさしく音響分野としてのブランドとして当時、使用されてました。
米国での輸出に際し、「パナソニック」に落ち着くまでに、1964年5月に「NATIONAL PANASONIC(ナショナル・パナソニック)」で米国への輸出が認められ、以後、「KADOMAX(カドマックス)」、「マツシタ」、「マーツ」を経て「パナソニック」となっており、ブランド戦略がしっかりしていなかったようにみえます。
1965年に国内高級スピーカーのブランドとして
Technics(テクニクス)のブランドを制定しました。
Technicsの由縁は、「輸出用に初めて”Pana Sonic”商標が用いられたスピーカー「8P-W1」の設計者である阪本楢次と、大口取引先だった日本橋電気街の河口無線(後に上新電機子会社を経て現在はクボテック傘下)の当時の会長との会話の中で決まったと言われています。
このようにブランドが乱立する中、海外で知名度の高い「パナソニック」への統一が検討されていましたが、存命中の松下幸之助が激怒したため棚上げになってしまいました。
このブランド統一の反対は松下幸之助の数少ない失敗事例かもしれないです。
他にパナソニックグループの主要ブラントで、兄弟会社の松下電工※が1987年、松下電器産業と区別するため「National 松下電工」および「NAiS」という独自ブランドを制定しました。
※松下電工は松下電気器具製作所の創業時事業である配線機器事業・電熱機器事業・合成樹脂事業・照明機器事業などを担当する部門として設置された第三事業部(いわゆる社内カンパニー)がルーツで、松下グループで一番、伝統のある事業を担当。
戦後、親会社の松下電器産業が財閥解体の対象になり、過度経済力集中排除法やGHQの方針で、1945年(昭和20年)11月に「松下電工株式会社」として分離独立しました。
それ以降、松下電器産業がソニーを代表とする国内メーカーやグローバルでの競争によって変化していく中、松下電工は安定した経営の中、松下幸之助の創業商品(二股ソケット)をもち、松下グループの源流というプライド、松下幸之助のリスペクトから、松下精神・理念を色濃く残した企業でもありました。
このように松下グループにブランドが乱立した中、2003年7月1にコーポレートコミュニケーション本部傘下に「ブランド戦略室」を設置し、グローバルで一貫した全社ブランド戦略を構築する部署ができました。
ここからパナソニックのブランド戦略が劇的に変化することになったと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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コメント
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jalも結局つるまるにもどしましたし
ブランディングはとても難しいですね
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jalも結局つるまるにもどしましたし
ブランディングはとても難しいですね
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jalも結局つるまるにもどしましたし
ブランディングはとても難しいですね
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>シルバーヒロさん
ブランディングは本当に難しいですね。
ブランド戦略を勉強すると、非常に奥深いです。
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>シルバーヒロさん
ブランディングは本当に難しいですね。
ブランド戦略を勉強すると、非常に奥深いです。
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>シルバーヒロさん
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あまり考えたことなかったけど、そんな違いがあったんですね
勉強になります
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あまり考えたことなかったけど、そんな違いがあったんですね
勉強になります
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あまり考えたことなかったけど、そんな違いがあったんですね
勉強になります
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>トリップさん
勉強になると思われたとのことで、読者の方のためになるような内容をできるだけ書きたいと考えておりますので非常に嬉しく思います。
まだまだ続編も書く予定ですので、また読んでいただけたらありがたく思います。
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>トリップさん
勉強になると思われたとのことで、読者の方のためになるような内容をできるだけ書きたいと考えておりますので非常に嬉しく思います。
まだまだ続編も書く予定ですので、また読んでいただけたらありがたく思います。
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>トリップさん
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まだまだ続編も書く予定ですので、また読んでいただけたらありがたく思います。