ブランド戦略(2)-パナソニック編-

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 前回のブランド戦略の代表的な企業であるパナソニックについて下記ました。



 今回は前回のつづきです。


 前回のブランド戦略はこれをクリック!



 松下グループはブランドが乱立させてしまいました。



 そこで、2003年7月1にコーポレートコミュニケーション本部傘下に「ブランド戦略室」を設置し、グローバルで一貫した全社ブランド戦略を構築する部署ができました。



 ここからパナソニックのブランド戦略、ブランディングが劇的に変化することになったと思います。



 まず、2004年(平成16年)に松下電器産業は松下電工を連結子会社とし、「National 松下電工」および「NAiS」のブランドを消失させました。



 次に、2008年(平成20年)10月1日より、松下グループはパナソニックグループとなり、ブランドの分散投資は非効率と判断し、国内のブランド「National」や「Technics」を廃止し、グローバルブランドであった「Panasonic」に統一しました。



 以上のようにパナソニックは日本の世間から親しまれてきた「松下」「Natinaol」という大きなブランドを捨て、パナソニックという社名、ブランドでグローバル企業として世界で戦っていく決意があったと思います。

 
 パナソニックに統一する前に、Panasonicブランドの価値をさまざまな観点から世界各地で調査分析を行った結果、Panasonicの既得価値は、「品質、信頼、安心、安全、愛着」といった言葉で象徴され、Panasonicが今後付加していかなければならない価値は、「先端性、未来感、情緒的な絆」であると結論づけました。



 Panasonicに統一され、今後の課題が見えた中、パナソニックのブランド戦略として、「Panasonic ideas for life」を掲げました。



 CMでもお馴染みの「Panasonic ideas for life」はどのような意味があるのでしょうか。



 Panasonicは企業の本質的な意思として、製造業の本分に徹して、世界中のお客様に対し、常に身近なところでお届けしていくべき価値を、“ideas”という言葉に集約しました。



 すなわち、Panasonicが目指すべき提供価値はideasであり、それは「お客様のために」、あるいは、「お客様の人生やくらしのために」ということであるため、これらを統合したコンセプトとして、“ideas for life”という言葉が創られました。



 「Panasonic ideas for life」は、「全世界の従業員が開発・製造・販売・サービスを通じて、世界中の人々に明日のライフスタイルを提案し、地球の未来と社会の発展の貢献するため、価値あるアイディアを提供し続ける」という、Panasonicブランドプラミスとしたのでした。



 このPanasonic ideas for lifeを旗印に、グローバルに、積極的にブランド戦略の展開を図ることをブランド戦略の基軸としたのです。



 通常のブランド戦略は、顧客を対象としていますが、パナソニックが特異なことは、あるべきビジョン「Panasonic ideas for life」を全世界の36万人以上の全従業員にむけ掲げ、従業員をブランド戦略の起点として積極的に、効果的に展開させているところです。



 松下幸之助が従業員に「松下電器は何をつくるところかと尋ねられたら、松下電器は人をつくるところです。併せて電気器具もつくっております。こうお答えしなさい」と言ったように、”経営の根幹は人にあり”が松下DNAの1つです。



 さらに「事業を通じて、人々のくらしを豊かにし、社会の発展に貢献する」という松下幸之助のフィロソフィーが「Panasonic ideas for life」に凝縮された経営理念となっています。



 2008年10月28日、東京・御成門のパナソニック1号館で行われた2008年度上期連結業績発表で大坪文雄社長は、「1日の社名変更以降、衆知を集める全員経営が実践されている」と切り出しました。
引用:
http://ascii.jp/elem/000/000/183/183689/



 衆知を集める全員経営(衆知経営)は創業者である松下幸之助氏が、1972年に経営方針発表会で語った言葉です。


みんなが経営に興味をもって、
お互いに知恵を出し合って、
それをうまく結集して、
経営の芯としている、
というような会社は、概して発展している。
それが特にうまくいっている会社は、急速に発展している
<1972年に経営方針発表会より>



 この衆知経営を具現化したものが、Panasonic ideas for lifeに集約されているように思います。



 パナソニックはナショナル、松下というブランドを捨てましたが、もっと松下の根本となる経営理念を「Panasonic ideas for life」というブランドスローガンで全従業員に松下の原点回帰させたように思います。



 さらに、「Panasonic ideas for life」は普遍性があるという点で素晴らしいと思います。



 松下幸之助は1946年に
「企業は社会の公器である。したがって、企業は社会とともに発展していくのでなければならない。」
と語っていますが、欧州や“会社は株主のもの”という大原則が貫くアメリカでも、CSR(企業の社会的責任)、コーポレートガバナンス(企業統治)、コンプライアンス(法令遵守)、エコなど、グローバルに企業に問われるようになり、企業が社会の公器に向けて、世界企業が動いています。



 このように、「企業が社会の公器である」という考えは普遍性があり、これに基づき、衆知経営を含め、端的に「Panasonic ideas for life」と表現したことには絶賛に値するように思います。



 このパナソニック事例からの教訓は、下記のことがいえるように思います。


①会社が今は小さくても拡大している中、常にグローバルな視点でブランド戦略をたてる。


②経営層直轄のブランド戦略室のような部署をつくり、将来を見据えた、普遍性・永続性のあるブランド戦略の立案、その実施によるリスク算定を行い、経営層が正しく判断させる仕組みが必要。


③経営理念、ブランドプロミス(お客様に対して)、ブランドスローガン(従業員に対して)、経営スローガンの連携がとれた投資効率のよく、お客様、従業員にわかりやすいブランディングが重要。



 パナソニックは2003年以前、ブランディングについて混迷していたが、社名、ブランドをパナソニックに統一することができたのは、多くのブランドを抱えながらも、音響分野から生まれたPanasonicブランドを積極的な投資で他の商品群にも適用し、国内外によく浸透させたという功績があったからと思います。



 今回はブランド戦略でトップレベルにあるパナソニックについて書いてみましたが、ブランディング、ブランド戦略について少しご理解いただけたら、幸いです。
 

 引用はこちらから

 


今後は社会の公器については今後、ブログで詳しく紹介したいと思います。



前回のブランド戦略(1)はこちらから


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