一緒に観光もできる隠れ名城”岩尾城”&山都町観光紹介

◎山城
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隠れ名城”岩尾城”+観光の紹介

熊本県上益城郡山都町(やまとちょう)にある岩尾城(いわおじょう)に行ってきましたので紹介します。
山都町の岩尾城の記事を探したところ、詳しい内容のものはなく、この記事がインターネット上で一番詳しく、内容量も多いと思います。

概要

空から見ると岩尾城は亀の形をしており、「亀甲城」とも呼ばれています。
岩尾城に通潤橋(江戸時代に造られた水道橋・放水もされ、人気の観光場所)が隣接しており、さらに麓には道の駅があり、山城以外に観光・買い物ができます。

 

歴史

15世紀中葉以降と推測されるが不明。阿蘇氏の詰の城(戦時の最後の拠点)として、阿蘇惟忠(これただ)が築いたとされています。
岩尾城主は、天正年間には甲斐氏、小西氏が領主になると結城弥平次や大田市兵衛が城代、関ヶ原の戦いの後、加藤清正が領主となって1601年に長尾善政を城代にした。善政の死後に入った加藤正直は慶長17年(1612年)に内牧城に移り、岩尾城は廃城となりました。
山都の地を守るもう1つの愛藤寺城(あいとうじじょう)は阿蘇氏によって白糸台地の南端に築かれた山城で、小西行長によって近世城に改築され、さらに加藤清正の修築を受けているので、岩尾城も小西行長、加藤清正によって改築されている可能性が高そうです。

 

立地

山都町にある岩尾城は熊本市・八代市と宮崎県高千穂町・延岡市を結ぶ道中にあり、重要交通路の中心の場所だったと思われます。

■山都町の命名について
2005年2月11日に上益城郡矢部町清和村、阿蘇郡蘇陽町が合併して、「山都町」(やまとちょう)が誕生しました。
町名は公募によって次の3つの理由で命名されました。
①「山の都」として栄えるように願いをこめて!
②山を三と読替え、三町村が栄える!
③大和王権の「やまと」と同じ響きで、イメージがよいから。

標高482m、登城口との比高は約30mで、所要時間は約30分(通潤橋を含めると1時間)です。
ちなみに、現在では、山都町は、”九州のへそ”として商標登録をしています!
室町時代~戦国時代では、山都町エリアは岩尾城と矢部城(愛藤寺城)でおさえていたと思います。

岩尾城から東に40kmのところに高千穂町(宮崎県)があります。
近いですね!
その高千穂「町」天孫降臨(皇室の御先祖が高天原(たかまがはら)から天降り(あまくだり)の最有力の地の1つですが、実はもう1か所あります。
その場所は高千穂「峰」(宮崎と鹿児島にまたがる霧島山脈にある峰です。下記地図では霧島神社でプロット)です。
※下記地図をみると両者の場所が離れていることがよくわかりますね。

筆者は天孫降臨の地は古事記の「神武東征」から前者の高千穂「町」と思っています。具体的には、神武天皇が高千穂峰から九州を縦断して広島・岡山・大阪・熊野と東征するとは思えないからです。上の地図でも高千穂峰~高千穂町は約300kmの距離があります。

 

岩尾城は、下の地図通り、北側と西側は五老ケ滝川に囲まれ、南側は五老ケ滝の深い渓谷で隔絶された天然の要害(地勢が険しく、敵を防ぐのに適している所)の地にありますので、籠城では東側をメインに防衛すればいいです。

アクセス

バス:熊本桜町バスターミナルからバスで90分 熊本バス
矢部・馬見原行き乗車 中央公民館前下車後 徒歩10分

:九州自動車道御船I.Cから車で40分 道の駅通潤橋に駐車

縄張(設計図)

(以下の番号は下図の番号と合わせています)
①本丸は西端の最高所にあり、周辺斜面には同心円状の曲輪(くるわ:防御のために造られた削平地)がありました(下記に実際の写真あり)。
その南側にある長円状の平坦地が②二の丸、北東の尾根を削平した面が③三の丸です。
現在は①本丸・②二の丸・③三の丸はやその周辺の曲輪群は現存しています。
非常にわかりやすいため、初心者でもおすすめの山城です。
山城以外に⑦が道の駅・駐車場、⑥が通潤橋です。

 

写真での岩尾城の説明

岩尾城の南側の五老ケ滝川です。右に見えるのが道の駅の駐車場で、左が岩尾城と通潤橋。

今は棚田ですが、当時は空堀(水のない堀)だったようです。

奥に見える橋が”通潤橋”で江戸時代に農業のために造られた水道橋です。(詳細は最後に説明しています)

 

水道橋の左が岩尾城で隣接していますので、山城と水道橋が一緒に観られます!

下写真は曲輪からみた二の丸です。約45度あり、ここから上に登るのは難しいです。このような場所は本丸にもあり、本丸と二の丸は堅固です。
当時は本丸・二の丸・三の丸・曲輪ごとに木の柵で囲まれていました。
例えば、この上の二の丸を攻めるとして、この急な坂をあがると柵があり、柵を壊して二の丸に侵入しようとすると、すぐに竹竿で刺されておしまいです。単純に見えますが、攻める側は命がけです。

岩尾城からみた通潤橋。美しいですね!

曲輪です。この岩尾城は曲輪が当時のままで残っているところが見どころです!素晴らしい!

下写真も曲輪です。左上の曲輪で段差は約3mもあり(切岸といいます)、ほぼ垂直のため、攻城には曲輪伝いに移動するしかないです。そうすると上から、矢や石が飛んできますので、この移動でTHE ENDですね。恐ろしい山城です!
このように岩尾城は曲輪がはっきり残っている点と切岸(山腹を垂直に削り人工の崖としたもの)が素晴らしいところが魅力ポイントです!

この曲輪と切岸がどう造られたかについて説明します。
一見すると自然にできた平らな土地に見えますが、実は違います!
なんと、もともとは山の斜面で以下のようにすべて削って作られたもので、とてつもない作業量です。この削った土は土塁といって盛り土で防御壁を造るのです。

 

山城は敵が攻めてきたときに住民が逃げ込み、戦う場所です。
山都町の人々もここ岩尾城に逃げ込み、全員で戦ったのです。

つまり、山城はその町の住民を守るために造られたのです。まずどの山に城を造るかを決め、次に曲輪、切岸、通り道、門などをどう設計していくのかを考えていきます。

当然ながら山城を設計する時には、家臣たちは家族の命をどうやったら守れるのか一生懸命にアイデア出しをし、住民も山城の土木工事を積極的に手伝いました。

 

そう考えると、世界中を旅した筆者からすると、山城は日本で最高の遺物です。
なぜなら、山城は住民の命を守る存在として、日本人の最大の英知の結集したものだと思うからです。

天守閣のない城、山城は見た目は地味ですが、こうしてみると緻密な設計のもと、家臣と住民で山城やその土地を守ろうとしてきたことがわかってきます。

 

攻城しながら、水道橋が観られるのはこの岩尾城の魅力です!

棚田です。

堀切です。本丸と二の丸の間にあります。ここが岩尾城の最大の見どころです!美しい♪
堀切は山の尾根を人工的に掘っています。これにより二の丸(左)が落ちても、本丸(右)に簡単にいけないようにする効果があります。

堀切の左から上がってみました。二の丸からの景色です。

二の丸です。景色がいいですね!

本丸の下に案内板がありました。

ここが本丸です。周囲は急な坂で防御性は高かったです。

三の丸の方に来ました。

案内板がないので確かではないのですが、ここが三の丸と思います。

三の丸あたりからみた通潤橋です。とてもきれいですね!
ここから通潤橋の放水がゆっくりみられるように、ベンチがありました。整備されてますね!

あと15分後に放水されますので、水道橋の真ん中に人が集まりかけています。

岩尾城については以上です!

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山城関連の記事はコチラから見られます。

九州の山城紹介はコチラから見られます。

・・・せっかくなので、観光情報もお伝えします~!

岩尾城と一緒に行きたいおすすめ観光地

おすすめ1:世界かんがい施設遺産(岩尾城の水堀)

世界かんがい施設遺産に認定されています。

かんがい施設遺産は、かんがい施設の適切な保全に資することを目的として、建設から100年以上経過し、かんがい農業の発展に貢献したもの、卓越した技術により建設された歴史的・技術的・社会的に価値がある施設を登録・表彰するために始まりました。

ICID本部に設置された審査委員会において、各国のICID国内委員会から申請のあった候補施設の審査が行われ、平成26年9月16日に大韓民国光州広域市で開催された第65回ICID国際執行理事会において、5ヶ国17施設がかんがい施設遺産として登録されることが決定しました。
日本では下記の9施設ががんかい施設遺産として登録されています。
1 稲生川(いなおいがわ)(青森県十和田市)
2 雄川堰(おがわぜき)(群馬県甘楽町)
3 深良用水(ふからようすい)(静岡県裾野市)
4 七ヶ用水(しちかようすい)(石川県白山市)
5 立梅用水(たちばいようすい)(三重県多気町)
6 狭山池(さやまいけ)(大阪府大阪狭山市)
7 淡山疏水(たんざんそすい)(兵庫県神戸市他)
8 山田堰、堀川用水、水車群(やまだぜき、ほりかわようすい)(福岡県朝倉市)
9 通潤用水(つうじゅんようすい)(熊本県山都町)

 

おすすめ2:通潤橋(岩尾城に隣接)

橋上観覧にはチケットが必要です!(橋の下の入口で係員がチケット確認しています)
道の駅通潤橋物産館の中で専用売り場がありますので、岩尾城や通潤橋の観光前に買っておいてください。税込500円でした。

通潤橋は1854年、水不足に悩む白糸台地に水を送るため、矢部の惣庄屋・布田保之助によって造られた日本最大級の石造りアーチ水路橋です。
水路の長さ126m、橋の長さ75.6m、橋の幅6.3m、橋の高さ20.2m、アーチの半径27.6m。約6km離れた笹原川の上流から水を引き、水路の総延長約30km、灌漑面積は約100haにも及びます。一昼夜で15,000平方メートルの水を送り、水田を潤す力を備えています。1960年(昭和35年)に国の重要文化財に指定され、豪快な放水は有名です。

橋上の中央のここから放水されます。放水されるところが目の前で見れるんです!約10分くらいです。
放水スケジュール⇒コチラ

奥に見えるのが道の駅です。(南方向)

北方向でも放水があります。

放水がはじまりました。とてつもない勢いです!  (南側)
上から下を覗き込むと、おー、でてるでてる!

北側にも放水されています。

一応、白線内で観てくださいと係員さんが言われてました。    

ここまで近づくと濡れました(笑)でも水滴がきもちいい♪
橋の両側から放水されてますね。  

おすすめ3:清和文楽+道の駅 「清和文楽邑」

なんとこの地に人形浄瑠璃が観られます!九州ではここだけしかみれません。
筆者は人形浄瑠璃・文楽が好きで、淡路島・徳島・大阪・東京で観ているので、清和文楽の存在を知りとても驚きました。
清和文楽(清和人形浄瑠璃)は山都町の清和地区で郷土芸能として、阿波・淡路系旅回りの人形浄瑠璃一座から伝えられ、浄瑠璃の好きな村人たちが、農作業の合間に習い覚えて春の祈願、秋のお祭りに自ら奉納を始めたのが興りと言われています。

定期公演は第2・4日曜日(7〜11月は毎週日曜日)13:30~14:30。繁忙期には追加公演があります。公演がない日は資料館の見学になります。

さらに隣にある道の駅でグルメも楽しめます!
せっかく山都町に来たので、通潤橋の放水と公演は同日にみたいところなのですが、今のところ同日では見ることができません(涙)。山都町の方はこの記事を読んで、放水と公演を一日で楽しめるようにしてほしいです!この実現は、WIN-WINですよね☺。

詳細⇒コチラ
公演カレンダー⇒コチラ

写真はHPから引用

■人形浄瑠璃と文楽の違い
文楽は日本で一番盛んだった淡路人形浄瑠璃の系譜の1つで、大阪で人気を博した人形浄瑠璃を人形浄瑠璃文楽といいます。略して、文楽
文楽の由来は、幕末、淡路の植村文楽軒が大阪ではじめた一座が最も有力で中心的な存在となり、やがて「文楽」が人形浄瑠璃の代名詞となりました。
人形浄瑠璃文楽は2008年に、能楽・歌舞伎とともにユネスコ無形文化遺産に登録されました。
■清和文楽と人形浄瑠璃文楽
清和文楽は淡路人形浄瑠璃の系譜の1つで、本来の名前は清和人形浄瑠璃となります。清和文楽は阿波人形浄瑠璃からも影響受け、阿波人形浄瑠璃も淡路人形浄瑠璃の系譜の1つです。つまり、淡路人形浄瑠璃は清和と大阪(文楽)と阿波の源流なのです。
大正中期以降、演場所であった文楽座が唯一の専門劇場となったことから、文楽が人形浄瑠璃の芸能そのものをさすようになりました。
こういった流れがありますが、文楽は大阪の一座名の略称です。現在でも淡路人形浄瑠璃、阿波人形浄瑠璃といっていますので、淡路人形浄瑠璃をリスペクトして、清和文楽よりも、清和人形浄瑠璃の方が、筆者にはしっくりきます。

 

おすすめ4:ランチ・スウィーツ・カフェ ~通潤酒造・寛政蔵~

1792年に創建された酒蔵です。寛政蔵でランチ・スウィーツ・カフェが楽しめます!
ランチ・スウィーツ・カフェは寛政蔵でき、インテリアはすご~く素敵です!
生酒をいただきましたが、とっても美味しかったです!

さらに説明付きで酒造現場の見学ができます。酒造の蔵は温度が低いので、重ね着ができる服を持参されるといいと思います。
詳細⇒コチラ

山都町は1970年代から有機農業の取り組みが始まり、今や有機JAS認証事業者数は全国最多を誇る「有機農業全国No. 1のまち」です。
九州のへそまで、せっかく来たのですがら、山都町でオーガニックランチは絶対、食べたいですね!
筆者もたくさ~ん食べました♪
また、環境にやさしい有機農業が盛んなところから、山都町は2021年にSDGs未来都市に選ばれています。
次の動画では山都町出身アーティスト”伴都美子”さんの曲(2022年新曲「遠路」)がとても素敵です♪
動画では伴さんご自身が出演されていました。
この動画が2022年3月、この曲のリリースが2022年4月で、伴さんは14年ぶりの新曲なので、山都町と伴さんのコラボプロジェクトだと思います。

 

 

おすすめ5:自家焙煎珈琲「Appartement」とスウィーツ「ARBOL(アルボ)」

ここでは自家焙煎コーヒーが飲め、さらにヴィーガンアイスサンド”塩麹バニララムレーズン”はめちゃ美味しいです♪
屋号の「Appartement」はフランス語で住宅の一部という意味で、オーナー齊木さんが焙煎・抽出するコーヒー、パートナー藤川里奈さんが手作りするアイス、スイーツを柱とした「ARBOL(アルボ)」が一つの場所で同居していることから命名したようです。福岡での開業案もあったようですが、藤川に縁があるこの山都町を選び、2022年1月開業されたようで、二人三脚で頑張られています!

詳細⇒Appartement(アパルトマン) ARBOL(アルボ)

おすすめ6:清和高原天文台~星に願いを清和高原~

筆者は海外旅行が大好きで、夜になると海外での星空を見ています!
阿蘇⼭の南外輪⼭に位置し、標高700mで360度⾒晴らしの良い場所にあります。
昼は北側には阿蘇山、南側には1000m級の九州山地を眺望でき、最高のロケーションを満喫できます。
夜は街明りも少なく、空気も澄んでいるので沢⼭の星空を楽しむ事ができます。
詳細⇒コチラ

※写真はHPより引用

筆者は星空観測をしました(別の場所です)。星は明るく、キラキラと瞬く星も見え、とてもきれいでした!
山間部ですので、少し厚着をおすすめします。

2019年子ども議会において、星が大好きな山都町の中学生から「光害」防止の提案があり、2020年3月9日に「山都町星空環境保全条例」が制定されています。
星空の美しさは、町民の想いによって守られています。山都町は素敵ですね!

 

おすすめ7:宿泊(天文観測に便利)

昼間は九州脊梁山地の絶景、夜は満天の星を満喫できる夕食付スタンダードプラン。
【特典】
①天体観測参加料サービス
②清和文楽館資料館入場券 / 清和文楽定期公演割引券プレゼント
【夕食】3種類から選択
・国産焼肉(国産牛 / 豚肉 / 鶏肉)
・ジビエ焼肉(地元で獲れた鹿 / 猪)
・和牛入り焼肉(和牛/豚肉/鶏肉)
【宿泊料】1棟1泊5名利用の場合:11,100円~ / 人(小学生8,200円~)
宿泊情報⇒コチラ

※HPより引用 宿泊はロッジで、写真はロッジと天の川です。

※HPより引用

せっかく”九州のへそ”まで来たなら・・・おすすめ1泊2日旅行プラン

盛りだくさんの内容だったので、旅行プランを考えてみました。
世界111ヵ国を旅行し、国家資格”総合旅行業務取扱管理者”がおすすめする、題して「はぎーの旅行プラン」です!(笑)

※下記番号は上記おすすめ番号と合わせています。

1日目:第2・4土曜日
熊本空港⇒レンタカー⇒道の駅「通潤橋」(通潤橋チケット購入500円)⇒①かんがい施設⇒岩尾城⇒②通潤橋放水見学(13:00-約13:10)⇒③通順酒造・寛政蔵でランチ(通潤特製ランチ:土日祝限定)⇒酒造見学(予約不要ですが、事前確認をした方が無難)⇒寛政蔵でスウィーツ・カフェ⇒⑦清和高原の宿⇒敷地内の散策⇒レストラン「星座の森」夕食⇒⑥天文観測

2日目
道の駅「そよ風パーク」⇒④清和文楽 資料館見学(1時間、うち25分映画上映)⇒清和文楽公演(第2・4日曜日13:30~14:30、旅行シーズンは特別公演あり)⇒併設・道の駅「清和文楽邑」⇒⑤「Appartement」(自家焙煎コーヒとヴィーガンアイスサンド)⇒熊本空港

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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